はじめに
「うちは予防接種、あえて打ってないんです」
「副反応が心配で…」
「考え方があって…」
そんな保護者からの言葉に、どう対応するか悩んだことはありませんか?
看護師としては、「接種してほしい」という思いがありながら、
園の方針・保護者の考え・集団保育の安全との間で揺れる場面です。

今回は、「予防接種をしていない保護者への声かけ」と、
看護師としての立ち位置の整え方をお伝えします。
まずは大前提|“否定しない”姿勢を持つ
予防接種に対する考えは、
✔ 医学的な理由
✔ 家庭の方針
✔ SNSなどの影響
…さまざまな背景があります。
どんな理由であっても、まずは
**「この人は間違っている」ではなく、「違う考えを持っている」**というスタンスで話を聞くことが第一歩です。
看護師として意識したい3つのポイント
① 園の“ルール”と“子どもたちの安全”を守る立場として話す
「個人のご判断は尊重いたしますが、集団生活の場として、園では〇〇のように対応しています。」
→ “あなたのせいで”という伝え方はNG
→ 園全体の視点で説明することで、対立を避けられる
② 「情報提供者」としての役割にとどめる
「ご希望があれば、予防接種についての資料もご用意できます。」
「不安な点があれば、医師に相談するのも安心につながりますよ。」
→ “押しつけ”ではなく、“選べる状態”に整えるのが看護師の立場
③ 他の保護者とのトラブルを防ぐ視点も持つ
「〇〇くんは予防接種していないらしいよ」
→ こうした“うわさ”や“誤解”が広まらないよう、情報の取り扱いは厳重に
→ 園内でも「共有する範囲」を明確にし、担任・園長と連携
よくある場面と対応例
ケース①:「うちは打たない主義なんです」
🗣 返し方のヒント:
「ご家庭でしっかり考えておられるんですね。
園では、感染症の流行状況や集団保育の観点から、個別にご相談させていただく場合がありますが、その際はよろしくお願いいたします。」
ケース②:「副反応が怖くて打てていません」
🗣 返し方のヒント:
「副反応へのご不安もありますよね。
最近では、ワクチンごとの安全性についても情報が出ていますので、必要であれば資料などもお渡しできます。」
ケース③:「他の子にうつさないように気をつけてますから」
🗣 ポイント:
→ “配慮している”という意図は受け止めたうえで、
→ 「感染予防のために園でも最大限の対策をしていますが、万一のために登園基準などについてご相談させていただくことがあります」と伝える
園とのすり合わせポイント
- 登園基準(麻疹・風疹など未接種児の扱い)を確認・共有しておく
- 流行時の登園制限などを事前に保護者へ説明できるよう準備
- 担任や園長と**情報共有の線引き(個人情報・伝える範囲)**を明確に
まとめ|看護師の言葉が「安心」の架け橋になるように
予防接種に対して不安や葛藤を抱えている保護者は、
実は**「正しく理解したい」と思っている人が多い**のも事実です。
看護師は、
“打たせる人”ではなく、
“情報と安心を届ける人”として信頼されることが、対応の鍵になります。
一方的に伝えるのではなく、
共に考える姿勢で、これからも寄り添っていきましょう。
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