〜“行動”ではなく、“背景”に目を向けて〜
目次
はじめに
保育室でよく見るこんな姿。
- すぐ立ち歩く
- 先生の話が耳に入らない
- お友達とのトラブルが多い
- 体を揺らしたり、常に動いている
こうした“落ち着きのなさ”があると、
「困る子」「手のかかる子」と見られてしまうこともあります。
でも看護師として大切にしたいのは、
その子の“行動の背景”に気づき、チームで支えていく視点。

今回は、落ち着きのない子どもへの関わり方と、保育士や保護者との連携のヒントをご紹介します。
「落ち着きがない=困った子」ではない
実は、子どもの“落ち着きのなさ”には、こんな理由が隠れていることがあります。
行動 | 背景にあるかもしれないこと |
---|---|
すぐ動き出す | 視覚・聴覚からの刺激に過敏/集中の持続が難しい |
座っていられない | 体の中に「ムズムズ感」がある(感覚過敏・不安) |
声が大きくなる | 自分の身体の動きや声の大きさを調整しにくい |
他の子を押す・叩く | 相手の気持ちを想像する前に体が反応してしまう |
📝看護師メモ
まずは「注意不足」「しつけ不足」と決めつけずに、
“この子が落ち着ける環境はなんだろう?”という視点で見ていきましょう。
看護師としての関わり方のヒント
① 「集中できる時間と空間」を整える
- 全体活動ではなく、小さな集団・短い時間からの参加
- 自分のスペース(安心できるクッション・マーク付き椅子など)を用意
- “目で見て分かる”予定表や写真カードで流れを伝える
② 「動ける」時間と場所をあえて作る
- じっと座らせるより、動いてもいい時間・場面を用意する方が落ち着く場合も
- 手遊びや“手を動かす”作業(お手伝いなど)に参加してもらう
③ 「できた」瞬間を見逃さずに伝える
- 「今、最後まで聞けてたね!」
- 「手を出さずに待てたの、すごいよ」



→ 失敗ではなく、“小さなできた”を積み重ねる関わりが、行動の安定につながる
保育士との連携で意識したいこと
- 「〇〇ちゃん、また立ち歩いてました」ではなく、
→ 「今朝は座っている時間が少し長くなっていました」
→ “変化をポジティブに伝える”
- 「〇〇したほうがいいと思います」ではなく、
→ 「こんな支援があるみたいなんですが、どう思いますか?」
→ **“一緒に考えるスタンス”**を大切に
保護者への伝え方の工夫
- NG例:「落ち着きがなくて、活動に集中できていません」
- OK例:「体を動かしている時間が多く見られましたが、少しずつ話を聞ける場面も増えています。お家ではいかがですか?」



→ “困っている子”ではなく、“がんばっている途中の子”として伝える
まとめ|“行動”の奥にある“伝えきれないサイン”に気づく
落ち着きがない子どもは、
決して“わざと困らせている”のではありません。
もしかしたら、
- 体が落ち着かないだけかもしれない
- 環境が合っていないのかもしれない
- だれかに「大丈夫だよ」って言ってほしいだけかもしれない
看護師として、その子の行動の奥にある「理由」を探し、
その気づきを、チームで支える力に変えていきましょう。
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